SUIFEEL JOURNAL

中国で「水素酸素混合ガス吸入療法」の臨床応用一般規範が正式発表

中国で「水素酸素混合ガス吸入療法臨床応用一般規範」が正式発表。国家呼吸医学中心や北京協和医院など20以上の医療機関が共同策定。水素酸素医学の標準化に向けた最新動向を紹介します。

中国で「水素酸素混合ガス吸入療法」の臨床応用一般規範が正式発表
国家呼吸医学中心・北京協和医院など20以上の医療機関が共同策定 2026年6月13日、中国・厦門で開催された「第18回海峡フォーラム 衛生・健康分科会 氢氧医学発展専門会議」において、「氢氧混合气体吸入疗法临床应用通用规范(T/CRHA 316-2026)」が正式に発表されました。 これは単なる新しい文書の発表ではありません。 国家呼吸医学中心(広州医科大学附属第一医院)、北京協和医院、上海潓美医療科技有限公司をはじめ、20以上の医療機関・研究機関が共同で、水素酸素混合ガス吸入療法の臨床応用に関する共通基準を整備したという点で、水素酸素医学の発展における重要な節目と考えられています。
今回の規範発表は、中国において水素酸素混合ガス吸入療法の臨床応用が、研究成果の蓄積だけでなく、「標準化」「安全管理」「品質管理」を重視する段階へ進み始めたことを示す重要な動きです。

なぜ「臨床応用規範」が重要なのか

水素酸素医学の分野では、近年、呼吸器疾患、慢性疾患管理、がん支持療法、集中治療領域など、さまざまな分野で研究が進められています。 一方で、研究や臨床応用が広がるほど重要になるのが、「どのような基準で実施するのか」という標準化です。 どのような対象に用いるのか。 どのような手順で実施するのか。 どのように安全性を確認するのか。 機器やガスの品質をどのように管理するのか。 こうした基準が整理されていなければ、医療現場での適切な運用や、研究結果の比較、再現性の確保が難しくなります。 今回発表された「氢氧混合气体吸入疗法临床应用通用规范」は、こうした課題に対応するために策定された団体標準です。

重要ポイント

今回の規範は、特定の疾患に対する治療効果を認定するものではありません。 医療機関が水素酸素混合ガス吸入療法を臨床応用する際に、安全かつ適切に実施するための標準的な指針として策定されたものです。

国家呼吸医学中心・北京協和医院などが共同参画

今回発表された「氢氧混合气体吸入疗法临床应用通用规范(T/CRHA 316-2026)」は、中国研究型病院学会によって公布された団体標準です。
中国研究型病院学会が公布した「氢氧混合气体吸入疗法臨床応用通用規範(T/CRHA 316-2026)」。
専門会議で発表された主な研究テーマ。呼吸器疾患、慢性疾患管理、腫瘍領域、集中治療領域など幅広い分野が取り上げられました。
本規範の主たる起草機関として、 ・国家呼吸医学中心(広州医科大学附属第一医院) ・中国医学科学院北京協和医院 ・上海潓美医療科技有限公司 が名を連ねています。 さらに参画起草機関として、 ・復旦大学附属中山医院 ・復旦大学附属上海市第五人民医院 ・天津医科大学総医院 ・上海市東方医院 ・中南大学湘雅医院 ・北京大学第一医院 ・山西医科大学第二医院 ・江蘇省人民医院 ・河北医科大学第一医院 ・中国医学科学院腫瘍医院 ・北京大学腫瘍医院 ・河南省腫瘍医院 ・海軍軍医大学第一附属医院 ・首都医科大学附属北京佑安医院 ・首都医科大学宣武医院 ・北京医院 ・上海市閔行区中心医院 ・ハルビン医科大学附属第六医院 ・南京市栖霞区西崗社区衛生サービスセンター など、中国を代表する大学病院・腫瘍専門病院・総合医療機関・地域医療機関が参加しています。
本規範は、単一の医療機関や企業が策定した基準ではなく、中国の呼吸器医学、腫瘍医学、感染症医学、集中治療医学など複数の専門領域を代表する医療機関・研究機関が共同で策定した標準である点が大きな特徴です。
中国の「三甲病院」は、中国の病院等級制度における最高ランクの医療機関です。今回参加した施設の多くは、日本でいう大学病院や特定機能病院に相当する高度専門医療機関であり、中国の主要医療機関が本規範の策定に関与していることが分かります。
特に、国家呼吸医学中心と中国医学科学院北京協和医院が主たる起草機関として関与している点は大きな意味を持ちます。 水素酸素混合ガス吸入療法は、呼吸器疾患領域を中心に研究が進められてきた背景があります。そのため、中国の呼吸器医学を代表する医療機関が標準化に関与していることは、この分野の今後を考える上で非常に重要です。

鐘南山院士も会議に出席

中国呼吸器医学の第一人者として知られる鐘南山院士。SARSやCOVID-19対応でも中心的役割を果たしたことで知られています。
会議には、中国呼吸器医学分野の第一人者として知られる鐘南山院士も出席しました。 報道によると、鐘南山院士は今後の臨床応用、診療ガイドライン整備、長期観察研究、多施設共同研究の重要性について言及したとされています。
鐘南山院士は、中国の呼吸器医学を代表する研究者であり、SARSやCOVID-19への対応においても中心的な役割を担ったことで広く知られています。今回の会議に鐘南山院士が出席したことは、水素酸素医学に対する中国医学界の関心の高さを示すものと考えられます。

呼吸器疾患から慢性疾患管理、がん支持療法まで

今回の専門会議では、水素酸素医学に関する幅広いテーマが取り上げられました。
会議で紹介された水素酸素医学の研究テーマ一覧。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、COVID-19関連研究、肺障害、気道狭窄などの呼吸器疾患領域に加え、慢性疾患管理、老年医学、がん支持療法、放射線治療に伴う副作用対策、がん関連疲労、集中治療領域、敗血症、多臓器障害、HBV関連肝疾患など、さまざまな研究テーマが発表されています。 特に呼吸器疾患領域では、多施設ランダム化比較試験(RCT)に関する発表も紹介され、水素酸素混合ガス吸入療法に関する臨床研究が継続的に進められていることが報告されました。
水素酸素医学は、呼吸器疾患だけに限定されるものではなく、酸化ストレス、炎症、慢性疾患管理、がん支持療法、集中治療領域など、幅広い分野で研究が進められています。

研究数だけでなく「安全性」が問われる段階へ

今回の会議で特に重要なのは、水素酸素医学の可能性だけでなく、安全性や品質管理の重要性が明確に議論されている点です。
水素酸素吸入機器に求められる品質管理・安全管理の考え方を、公開資料を参考にSuifeel Journalが整理した概念図です。
今回発表された臨床応用規範は、水素酸素混合ガス吸入療法を医療現場で運用するうえで、安全管理や品質管理の重要性を示すものとして位置付けられています。
水素を発生する機器であっても、すべてが吸入用途として同等に評価されているわけではありません。 医療・吸入用途においては、単に「水素が発生するかどうか」だけでは不十分です。 発生ガスの品質、酸素との混合比、電解方式、使用される素材、電解液や膜成分の管理、ミストや不純物の混入リスク、発熱、圧力、可燃性、長時間使用時の安定性など、さまざまな観点から安全性を確認する必要があります。
Suifeel編集部が今回の会議資料で特に注目したのは、「水素酸素医学の可能性」だけでなく、「安全性が担保されていない機器による吸入リスク」にも明確に注意が向けられている点です。 水素が発生する機器であっても、吸入用途として安全に使用できるとは限りません。吸入用途を前提として適切な設計・管理が行われていない機器を使用する場合、発生ガスの品質、電解液や素材成分の混入、発熱、可燃性、長時間使用時の安定性など、安全上の懸念が生じる可能性があります。 今後は「どれだけ水素が発生するか」だけでなく、「どのような基準で安全性が管理されているか」が、より重要な評価基準になると考えられます。

水素酸素医学が次の段階へ進むために

水素酸素医学は、現在も研究が進行している発展途上の分野です。 だからこそ、研究成果を積み重ねることと同時に、安全性、品質管理、運用基準、臨床現場での再現性を整えることが不可欠です。 今回発表された臨床応用規範は、水素酸素医学が単なる研究報告や個別事例の段階から、より体系的な臨床応用へ進むための一つの重要な基盤になると考えられます。 Suifeelが重視する視点 Suifeelでは、水素酸素吸入において重要なのは、単に高濃度・高流量であることだけではないと考えています。 医療・健康分野で用いられる機器には、発生ガスの品質、安全設計、長時間使用時の安定性、管理体制、そして継続的なメンテナンス体制が求められます。 水素酸素医学が今後さらに発展していくためには、研究成果だけでなく、機器そのものの安全性や品質管理についても、より厳密に見ていく必要があります。
今回の規範発表は、水素酸素医学において「研究の蓄積」から「安全で再現性のある臨床応用」へと議論が進み始めたことを示す、大きな転換点と言えるでしょう。

Suifeel編集部コメント

今回のニュースは、水素酸素医学に関心を持つ方にとって非常に重要な意味を持つものです。 一方で、今回の規範発表を「特定の疾患に対する効果が認定された」と受け取るのは適切ではありません。 重要なのは、中国の主要医療機関が、水素酸素混合ガス吸入療法の臨床応用について、安全性、品質管理、運用基準を含めた標準化に取り組み始めたという点です。 これは、水素酸素医学がより信頼性の高い分野として発展していくために、非常に重要な一歩だと考えています。

今後について

Suifeelでは、国内外の研究動向や学術情報を継続的に調査し、可能な限り正確で信頼性の高い情報発信に努めています。 水素酸素医学の分野では、今後も基礎研究、臨床研究、学会発表、規制・標準化の動向が更新されていくことが予想されます。 Suifeel Journalでは、今後も国内外の研究動向や水素酸素医学に関する重要な情報を、分かりやすくお届けしてまいります。
本記事は海外で発表された学術・業界情報を紹介することを目的としており、特定の疾患に対する効果・効能を保証するものではありません。また、医療上の判断や治療方針については、必ず医師等の専門家へご相談ください。
【出典】 第18回海峡フォーラム 衛生・健康分科会 氢氧医学発展専門会議(2026年6月13日) 「氢氧混合气体吸入疗法临床应用通用规范(T/CRHA 316-2026)」発表資料 中国研究型病院学会 呼吸病学専門委員会 関連発表資料 会議現地公開資料および発表写真